○飯豊町文化財保護条例
昭和45年12月19日
条例第32号
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第182条第2項の規定に基づき、同法又は山形県文化財保護条例(昭和30年山形県条例第27号。以下「県条例」という。)の規定による指定を受けた文化財以外の文化財で、飯豊町(以下「町」という。)の区域内に存するもののうち、町にとって重要なものについて、その保存及び活用のため必要な措置を講じ、もって町民の文化向上に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例で「文化財」とは、法第2条第1項第1号から第4号までに掲げる有形文化財、無形文化財、民俗文化財及び記念物をいう。
(財産権等の尊重及び他の公益との調整)
第3条 飯豊町教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、この条例の執行にあたっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、文化財の保護と他の公益との調整に留意しなければならない。
第2章 町指定有形文化財
(指定)
第4条 教育委員会は、町の区域内に存する有形文化財のうち、町にとって重要なものを飯豊町指定有形文化財(以下「町指定有形文化財」という。)に指定することができる。
2 前項の規定による指定をするには、教育委員会は、あらかじめ指定しようとする有形文化財の所有権及び権原に基づく占有者の同意を得なければならない。ただし、所有者又は権原に基づく占有者が判明しない場合はこの限りでない。
3 第1項の規定による指定は、その旨を公示するとともに、当該有形文化財の所有者及び権原に基づく占有者に通知する。
5 第1項の規定による指定をしたときは、教育委員会は、当該町指定有形文化財の所有者に指定書を交付しなければならない。
(解除)
第5条 教育委員会は、町指定有形文化財が町指定有形文化財としての価値を失った場合、その他特別の事由があるときは、その指定を解除することができる。
3 町指定有形文化財について、法又は県条例の規定による指定があったときは、当該町指定有形文化財の指定は、解除されたものとする。
4 前項の場合には、教育委員会はすみやかにこの旨を公示するとともに、当該町指定有形文化財の所有者及び権原に基づく占有者に通知しなければならない。
5 前項による指定解除の通知を受けたときは、所有者はすみやかに町指定有形文化財の指定書を教育委員会に返付しなければならない。
(管理方法の指示)
第6条 教育委員会は、町指定有形文化財の所有者に対し、当該町指定有形文化財の管理に関し、必要な指示をすることができる。
(所有者の管理義務等)
第7条 町指定有形文化財の所有者は、この条例並びにこれに基づいて発する教育委員会規則及び教育委員会の指示に従い、町指定有形文化財を管理しなければならない。
2 町指定有形文化財の所有者は、その氏名又は住所を変更したときは、すみやかにその旨を教育委員会に届出しなければならない。
3 町指定有形文化財の所有者が変更したときは、新所有者は、すみやかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。
4 町指定有形文化財の全部又は一部が滅失し、若しくはき損し、又はこれを亡失し、若しくは盗みとられたとき及び所在の場所を変更しようとするときは、所有者は、すみやかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。
(管理団体による管理)
第8条 町指定有形文化財につき所有者が判明しない場合又は所有者による管理が著しく困難若しくは不適当であると明らかに認められる場合には、教育委員会は適当な団体を指定して当該町指定有形文化財の保存のために必要な管理を行わせることができる。
2 前項の規定による指定をするには、教育委員会はあらかじめ、当該町指定有形文化財の所有者及び権原に基づく占有者並びに指定しようとする団体の同意を得なければならない。ただし、当該町指定有形文化財の所有者が判明しない場合はこの限りでない。
(管理団体の指定の解除)
第9条 前条第1項に規定する事由が消滅した場合、その他特別な事由があるときは、教育委員会は、管理団体の指定を解除することができる。
(管理又は修理の費用)
第10条 管理又は修理に要する費用は、所有者の負担とする。ただし、管理団体がある場合は、当該管理団体の負担とする。
2 前項の規定は、管理団体と所有者との協議により、管理又は修理に要する費用の全部又は一部を所有者の負担とすることを妨げるものではない。
(管理又は修理の補助)
第11条 町指定有形文化財の管理又は修理につき多額の経費を要し、所有者又は管理団体がその負担にたえない場合、その他特別の事情がある場合には、町はその経費の一部に充てさせるため当該所有者又は管理団体に対し予算の範囲内で補助金を交付することができる。
2 前項の補助金を交付する場合には、教育委員会は補助の条件として管理又は修理に関し、必要な事項を指示するとともに必要があると認めるときは、当該管理又は修理について指揮監督することができる。
(1) 管理又は修理に関し、この条例並びにこれに基づいて発する教育委員会規則及び教育委員会の指示に違反したとき。
(2) 補助金の交付を受けた目的以外の目的に使用したとき。
(管理又は修理に関する勧告)
第13条 教育委員会は、町指定有形文化財の管理が適当でないため、当該町指定有形文化財が滅失し、き損し、又は盗みとられるおそれがあると認めるときは、所有者又は管理団体に対し、管理方法の改善、保存施設の設置その他管理に関し必要な措置を勧告することができる。
2 教育委員会は、町指定有形文化財がき損している場合において、その保存のため必要があると認めるときは、所有者又は管理団体に対しその修理について必要な勧告をすることができる。
3 前2項の規定による勧告に基づいてする措置又は修理のために要する費用は、予算の範囲内でその全部又は一部を町の負担とすることができる。
(現状変更等の制限)
第14条 町指定有形文化財に関しその現状を変更し、又は保存に影響を及ぼす行為(以下「保存に影響を及ぼす行為」という。)をしようとする者は、あらかじめその旨を教育委員会に届け、許可を受けなければならない。ただし、現状の変更については非常災害のため必要な応急措置又は教育委員会規則の定める範囲の維持の措置を執る場合、保存に影響を及ぼす行為については、影響の軽微である場合は、この限りでない。
2 教育委員会は、前項の許可を与える場合において、その許可条件として町指定有形文化財の現状又はその保存に影響を及ぼす行為に関し、必要な指示をすることができる。
2 町指定有形文化財の保護上必要があると認めるときは、教育委員会は前項の届出に係る修理に関し、技術的な指導と助言を与えることができる。
(環境保全)
第16条 教育委員会は、町指定有形文化財の保全のため必要があると認めるときは、地域を定めて一定の行為を制限し、若しくは禁止し、又は必要な施設をすることを命ずることができる。
2 前項の規定による処分によって損害を受けた者に対しては、町はその通常生ずべき損害を補償する。
(公開)
第17条 教育委員会は、町指定有形文化財の所有者又は管理団体に対し1ケ月以内の期間をもって教育委員会の行う公開の用に供するため、当該町指定有形文化財を出品することを勧告することができる。
2 前項の規定による出品のために要する費用は、町の負担とする。
3 教育委員会は、第1項の規定により町指定有形文化財が出品されたときは、これに関係するもののうちから、当該町指定有形文化財の管理の責に任ずべき者を定めなければならない。
4 第1項の規定により出品したことに起因して当該町指定有形文化財が滅失し、又はき損したときは、町は所有者又は管理団体に対し損害を補償する。ただし、所有者又は管理団体の責に帰すべき事由によって滅失し、又はき損した場合は、この限りでない。
(調査)
第18条 教育委員会は、必要があると認めるときは、町指定有形文化財の所有者又は管理団体に対し、当該町指定有形文化財の現状又は管理若しくは修理の状況につき報告を求めることができる。
(所有者変更に伴う権利義務の承継)
第19条 町指定有形文化財の所有者が変更したときは、新所有者は、町指定有形文化財に関し、この条例に基づいてする教育委員会の勧告、指示その他の処分による旧所有者の権利義務を承継する。
2 前項の場合には、旧所有者は当該町指定有形文化財の引き渡しと同時にその指定書を新所有者に引き渡さなければならない。
3 管理団体が指定され、又はその指定が解除された場合においても前項と同様とする。
第3章 町指定無形文化財
(指定)
第20条 教育委員会は、町の区域内に有する無形文化財のうち、町にとって重要なものを飯豊町指定無形文化財(以下「町指定無形文化財」という。)に指定することができる。
2 教育委員会は、前項の規定による指定をするに当たっては、当該町指定無形文化財の保持者又は保持団体(無形文化財を保持する者が主たる構成員となっている団体で代表者の定めのあるものをいう。以下同じ。)を認定しなければならない。
3 第1項の規定による指定は、その旨を公示するとともに、当該町指定無形文化財の保持者又は保持団体として認定しようとするもの(保持団体にあってはその代表者)に通知し、認定書を交付する。
4 教育委員会は、第1項の規定による指定した後においても当該町指定無形文化財の保持者又は保持団体として認定するに足りるものがあると認めるときは、その者を保持者又は保持団体として追加認定することができる。
(解除)
第21条 教育委員会は、町指定無形文化財が町指定無形文化財としての価値を失った場合又は法及び県条例の規定による指定があったときは、その指定を解除することができる。
2 前項の場合には、教育委員会はその旨を公示するとともに当該町指定無形文化財の保持者又は保持団体の代表者として認定されていた者に通知しなければならない。
(保持者等の氏名変更等)
第22条 保持者が氏名若しくは住所を変更し、又死亡したとき、その他教育委員会規則の定める事由があるときは、保持者又はその相続人は、すみやかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。保持団体が名称、事務所の所在地若しくは代表者を変更し、構成員に異動を生じ、又は解散したときも、代表者(保持団体が解散した場合にあっては、代表者であった者)について同様とする。
(保存)
第23条 教育委員会は、町指定無形文化財の保存のため必要があると認めたときは、町指定無形文化財について自ら記録の作成、伝承者の養成その他その保存のため適当な措置を執ることができるものとし、町は、保持者、保持団体又はその保存に当たることを適当と認めるものに対し、その保存に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。
(公開)
第24条 教育委員会は、町指定無形文化財の保持者又は保持団体に対し、当該町指定無形文化財の公開を町指定無形文化財の記録の保持者又は保持団体に対しその記録の公開を勧告することができる。
(保存に関する助言又は勧告)
第25条 教育委員会は、町指定無形文化財の保持者、保持団体又はその保持に当たることを適当と認める者に対し、その保存のため必要な助言又は勧告をすることができる。
第4章 町指定有形民俗文化財及び町指定無形民俗文化財
(指定)
第27条 教育委員会は、町の区域内に存する有形民俗文化財のうち、町にとって重要なものを飯豊町指定有形民俗文化財に、無形民俗文化財のうち町にとって重要なものを飯豊町指定無形民俗文化財に指定することができる。
(解除)
第28条 教育委員会は、町指定有形民俗文化財又は町指定無形民俗文化財としての価値を失った場合、法又は県条例の規定による指定があったときは、当該町指定有形民俗文化財又は町指定無形民俗文化財の指定を解除することができる。
第5章 町指定史跡、名勝、天然記念物
(指定)
第30条 教育委員会は、町の区域内に存する記念物のうち、町にとって重要なものを、飯豊町指定史跡、飯豊町指定名勝又は飯豊町指定記念物(以下「町指定史跡、名勝、天然記念物」と総称する。)に指定することができる。
(解除)
第31条 教育委員会は、町指定史跡、名勝、天然記念物としての価値を失った場合、法又は県条例の規定による指定があったときは、当該史跡、名勝、天然記念物の指定を解除することができる。
(現状変更等の制限)
第32条 町指定史跡、名勝、天然記念物に関し、その現状を変更し、又その保存に影響を及ぼす行為をするときは、教育委員会に届け許可を受けなければならない。ただし、現状変更については、教育委員会規則の定める範囲の維持の措置をする場合はこの限りでない。
第5章の2 飯豊町文化財保護審議会
(設置)
第33条の2 教育委員会の諮問に応じて、文化財の保存及び活用に関する重要事項について調査審議させるため、教育委員会に飯豊町文化財保護審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(審議会への諮問)
第33条の3 教育委員会は、次に掲げる事項については、あらかじめ、審議会に諮問しなければならない。
(1) 町指定有形文化財の指定及びその指定の解除
(2) 町指定無形文化財の指定及びその指定の解除
(3) 町指定無形文化財の保持者又は保持団体の認定及びその認定の解除
(4) 町指定有形民俗文化財又は町指定無形民俗文化財の指定及びその指定の解除
(5) 町指定史跡、名勝、天然記念物の指定及び指定の解除
(組織)
第33条の4 審議会は、委員10人以内で組織する。
2 特別の事項を調査審議するため、必要があるときは、審議会に臨時委員を置くことができる。
(委員)
第33条の5 委員及び臨時委員は、文化財に関し学識経験を有する者のうちから教育委員会が任命する。
(任期)
第33条の6 委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 臨時委員の任期は、特別の事項の調査審議が終了するまでとする。
(会長)
第33条の7 審議会に会長及び副会長を置き、委員の互選によってこれを定める。
2 会長は、審議会の会務を総理し、審議会を代表する。
3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。
(会議)
第33条の8 審議会は、会長が招集する。
2 会長は、会議の議長となる。
3 審議会は、委員の過半数が出席しなければ、会議を開くことができない。
4 審議会の議事は、出席した委員の過半数をもって決し、可否同数のときは、議長の決するところとする。
(意見の聴取)
第33条の9 審議会は、特に審議のため必要があるときは、委員及び臨時委員以外の者の出席を求めて意見をきくことができる。
(庶務)
第33条の10 審議会の庶務は、教育委員会において処理する。
(雑則)
第33条の11 第33条の8に規定するもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、会長が審議会にはかって定める。
第6章 補則
(委任)
第34条 この条例の施行に関し必要な事項は、教育委員会規則で定める。
附則
この条例は、公布の日から施行する。
附則(昭和51年3月16日条例第9号)
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
(飯豊町文化財調査委員会条例の廃止)
2 飯豊町文化財調査委員会条例(昭和45年条例第33号)は、廃止する。
(経過措置)
3 この条例の施行の際、現にこの条例による改正前の飯豊町文化財保護条例(以下「改正前の条例」という。)第27条第1項の規定により指定されている町指定民俗資料は、この条例による改正後の飯豊町文化財保護条例(以下「改正後の条例」という。)の規定の適用については、改正後の条例第27条第1項の規定により指定された町指定有形民俗文化財とみなす。この場合において、改正前の条例第27条第2項において準用する改正前の条例第4条第6項の規定により指定された町指定民俗資料の指定書は、改正後の条例第27条第2項において準用する改正後の条例第4条第5項の規定により交付された町指定有形民俗文化財の指定書とみなす。
附則(平成27年12月9日条例第33号)
この条例は、公布の日から施行する。